ここでは、健康的な日常生活を続けるにあたって、必要な注意点について紹介します。
赤ちゃんを疲れさせない
外出は、赤ちゃんが起きているときに
赤ちゃんが寝ているときは、外出を控えましょう。ベビーカーやチャイルドシートでの睡眠は、思いのほか赤ちゃんに負担になります。
くたくたになる前に、切り上げる
赤ちゃんは楽しく遊んでいても疲れたら、あまり動かなくなります。そのときにはゆっくりと休ませてあげましょう。元気が戻ったら自分から遊び始めます。長く泣き続けると体力を消耗します。しかし、泣いたからといって、慌ててすぐに抱っこする必要はありません。むしろ癖になってしまいますので、泣いているのを放っておくことはせずに、様子を見て抱っこしてあげましょう。
人ごみを避けましょう
大勢の人がいる場所は疲れやすく、感染の危険もあります。とくに冬季の人ごみは、かぜ防止のためにも避けるようにしましょう。また、お買い物など必要なことは、できるだけ人の少ない時間帯に行くようにしましょう。
お風呂は短時間で済ませる
お風呂はあまり熱くないお湯加減で、短時間で済ませ、タオルや浴槽は清潔にしておきましょう。また、お風呂から上がった後の室温に注意しましょう。
食事をしっかり与えましょう
一度に飲めない、食べられないときは、何回かに分ける
心疾患をもつ赤ちゃんは疲れやすく、エネルギーが不足したり、栄養のバランスが崩れると、からだも心臓も元気にはたらくことができません。1回の食事で十分な量がとれない赤ちゃんは、ミルクや食事の回数を増やしてあげましょう。ゲップをしっかりと上手に出させてあげましょう。
貧血防止に、好き嫌いなく食べさせましょう
お子さんの体重が増えるのが嬉しくて、ついつい栄養バランスを無視して食事を与えがちになることもあるでしょう。しかし、栄養バランスが悪いと、貧血になりやすくなってしまいます。心疾患をもつお子さんが貧血になると、心臓は余分にはたらかなければいけなくなり、負担が増します。貧血を防ぐためにも、普段から鉄分を多く含む、緑黄色野菜や魚、肉などを多くとれるような献立を考えましょう。
食事の量が少ないときには、鉄剤補給を考慮して
十分にミルクや食事がとれないと、鉄分が不足し、貧血になることがあります。その場合は、薬によって鉄分を補う必要があるので、主治医に相談しましょう。
赤ちゃんとの旅行には、十分に気配りを
旅行は赤ちゃんに負担がかかることを十分理解して、不要不急であれば、短期間の旅行でもしばらくの間は我慢しましょう。もし必要であれば、赤ちゃんのペースに合わせて、無理のない、ゆとりをもったスケジュールをたてるように心がけてください。
移動時間が短く、負担が少ない手段で
赤ちゃんは、ちょっとした環境の変化でも体調を崩します。なるべく赤ちゃんに負担が少なく、疲れない方法で、移動時間が短い交通手段を選びましょう。
車は1~2時間乗ったら、休憩しましょう
車で移動する場合は、1~2時間乗ったら、1時間は涼しい場所で休憩します。座るタイプのベビーシートでは、呼吸がしにくくなることがあるので注意しましょう。長距離の移動では車を使わず、行き先でレンタカーを借りるなど、なるべく移動時間を短くするように心がけましょう。
長距離は飛行機で
国内で長距離移動の場合、陸路より飛行機をおすすめします。気圧の変化などで不機嫌になることがありますので、直前の授乳や経口摂取は気をつけましょう。飛行機での移動、とくに海外など長時間の移動の場合には主治医に相談してください。
「たばこ」を赤ちゃんに近づけない
喫煙している場所には近づかない
たばこの有害物質は、吸う煙よりむしろ、火のついているたばこから出る煙(副流煙)に多く含まれます。特に赤ちゃんに対しては影響が大きいので、絶対に避けましょう。
副流煙による影響1)
目や鼻への刺激
たばこの煙はアルカリ性なので、目や鼻の粘膜を刺激します。
貧血
煙の中の一酸化炭素は赤血球中のヘモグロビンと結びついて、酸素の運搬を阻害します。
心臓・血管への影響
ニコチンの影響で、心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮が起こります。
呼吸器系への影響
咳・痰、息切れ、肺炎、喘息などの呼吸器症状や呼吸器障害が起こります。
- 1)
厚生労働省 「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135586.html)[2023年1月6日確認]
家庭内では禁煙しましょう
ご家族のうち喫煙する方は、禁煙するか、少なくとも家庭内での喫煙はやめましょう。母親が喫煙すると、母乳中にニコチンが移行することが知られています。また、乳幼児突然死症候群(SIDS:それまで元気だった赤ちゃんが、眠っている間に突然死亡する病気)は、両親が喫煙する場合の方が、両親が喫煙しない場合よりも、約4.7倍も多く発生することが報告されています1)。
- 1)
厚生労働省. 「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策に関する検討会報告」
(https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1006/h0601-2.html)[2022年10月26日確認]