赤ちゃんの状態に目を配りましょう
赤ちゃんが健康な日常生活を過ごすために、保護者やご家族の十分な配慮が大切です。体調の変化に気がついてあげられるように、以下の項目について、日頃から目を配りましょう。
チェックポイント
おしっこはきちんと出ているか? 回数や量は?
うんちはきちんと出ているか? 回数や量、性状は?
ミルクや食事はしっかりとれているか?
体重はどれくらい? 増減は?
よく眠っているか? 睡眠時間は?
熱はないか?
手足は冷たくなっていないか?
呼吸が速くないか? 苦しそうではないか?
のどの状態は?
首のリンパ節が腫れていないか?
機嫌は良いか?
元気はあるか?
気になる症状がありましたら、医師に相談しましょう。
体温を保つことが大切です
赤ちゃんは体温調節が上手にできず、皮下脂肪も少ないため、赤ちゃんの体温は部屋の温度の影響を大きく受けます1)。掛け布団の枚数を調節するなどして、赤ちゃんが冷えすぎたり、暑すぎたりしないようにしましょう1)。
部屋の温度の目安は、夏は26~28度、冬は20度前後です1)。夏場は、クーラーの冷気が直接あたるのを避け、冬場は暖房器具を近づけすぎないようにしましょう1)。湯たんぽやあんかなどは低温やけどをおこすおそれがありますので、足下から15cm以上離して使用しましょう1)。
また、冬場は、空気の乾燥具合にも気を配り、ぬれタオルを部屋にかけたり、加湿器で湿度を50~60%前後に保つことも大切です。
赤ちゃんの成長と発達
早く生まれた赤ちゃんの成長や発達は、実際に生まれた日ではなく、出産予定日を基準に考えていきます2)。出産予定日に合わせた月齢を、「修正月齢」といいます3)。赤ちゃんの成長や発育を確認するときには、修正月齢で考えることを忘れないようにしましょう。
修正月齢の考え方
例)出産予定日より2か月早く生まれてきた赤ちゃんの場合
- 生後1か月 → 修正月齢マイナス1か月
- 生後2か月 → 修正月齢0か月
また、首が据わったりハイハイなどの発達は、予定日付近で生まれた赤ちゃんと同じ順番で現れますが、おなかにいた期間が短く、出生体重の軽い赤ちゃんほどゆっくりと成長する傾向があります2、3)。
ほとんどが6歳頃、遅くとも9歳までには予定日付近で生まれた子どもたちに追いつくとされていますが、成長や発達について気になることがあれば、医師に相談し、定期的に検診を受けるようにしましょう。
赤ちゃんがかかりやすい感染症
子どものかぜなど、感染症を引き起こす病原体はさまざまあります。有名なものはインフルエンザウイルスですが、乳幼児に下気道感染症を引き起こす病原体のひとつとしてRSウイルスがあります。とくに早産児はからだの機能が未熟なことがあるので、年長の子どもや大人がRSウイルスに感染した場合と比べて、重症化し入院による治療が必要になったり、症状が長期化する可能性があります4)。
乳幼児では、以下のような感染症に注意してください。
- インフルエンザ菌b型(ヒブ)
- 肺炎球菌
- ロタウイルス
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- おたふくかぜ
- インフルエンザ
- RSウイルス など
感染症に気をつけましょう
早産児はウイルスや細菌が原因の感染症にかかりやすいです1、4)。かぜなどの感染症にかかっている人との接触を避けるため、退院後しばらくは大勢が集まる場所に行くことや、できれば来客も最小限にとどめて、感染防止を心がけましょう。赤ちゃんへの感染を予防するために、次のことに注意しましょう1)。
かぜをひいている人との接触を避ける
かぜをひいている方のお見舞いは断り、家族でも部屋を別にするなど、赤ちゃんにうつさないようにしましょう。
かぜをひいている家族は、家庭でもマスクをしましょう。ほとんどの場合、ウイルスはかぜをひいた家族から感染します。
大人にとっては軽いかぜでも、赤ちゃんにとっては重い症状を引き起こすことがあります。
人ごみを避ける
病原体であるウイルスを寄せ付けないようにしましょう。
手洗い、うがいの励行
外出後は、家族を含め、手洗いうがいを励行し、からだを清潔に保つようにしましょう。
身の回りのものの清潔を
心がける
赤ちゃんが触ったり、口に入れるものは、アルコールティッシュで消毒するなどして、常に清潔にしましょう。
また、オムツの処理をきっちりしましょう。
禁煙を心がける
早産児は呼吸器が弱いことが多く、肺に負担がかかるため、できれば禁煙しましょう。
予防接種を受けましょう
赤ちゃんは免疫システムの発達が十分でなく、とくに、早産児はお母さんからもらう抗体が少ないなどで免疫力が弱い傾向があり、感染症にかかりやすいため、予防接種は特別な理由がないかぎり、必ず受けましょう2、4)。国で推奨している接種スケジュールがありますが、季節やそのときの流行などで、受けた方がよい予防接種の順番が変わることがあります2)。出生後の月齢に従い、予防接種の種類やタイミングは、主治医と相談して決めましょう2)。
予防接種法で定められた定期接種のほかに、任意で受けることのできる予防接種もあります2)。接種回数の多さなどから、進んで受けるのをためらっている方も多いかもしれません2)。
しかし、早産児は感染症にかかると重症化するリスクが高いため、任意接種も積極的に受けることがすすめられます2)。
以下の予防接種スケジュールを確認しましょう。
参考:
乳幼児予防接種スケジュール
感染症にはそれぞれ罹患しやすい年齢および流行期間があります。その感染を未然に防ぐために予防接種スケジュールが作成されております。接種対象期間内に、健康な時期を選んでワクチン接種を完了していくことが重要です。しかし、予防接種制度は随時、改正されますので、接種の際はかかりつけ医にご相談ください。
- 注)
DPT-IPV 4回接種、DPT 4回接種+IPV 4回接種から選択可能。なお、原則として同一の種類のワクチンを必要回数接種する。
- 不活化…
不活化ワクチン。
- 生…
生ワクチン。注射生ワクチン接種後、次の注射生ワクチン接種までは27日以上の間隔をあける。
- 1)
楠田 聡 監. 新生児の疾患・治療・ケア: 家族への説明に使える! イラストでわかる. メディカ出版. 平成28年4月第2版
- 2)
みずほ情報総研株式会社 小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査研究会. 低出生体重児保健指導マニュアル 小さく生まれた赤ちゃんの地域支援. 平成31年3月
- 3)
公益財団法人 母子衛生研究会 編. 小さく生まれた赤ちゃん. 令和3年6月第3版
- 4)
仁志田博司 編. 新生児学入門. 医学書院. 平成30年11月第5版