免疫不全の赤ちゃん

感染対策

病原体から遠ざける生活を心がけましょう

カビ(真菌(しんきん))を避ける

とくにリンパ球(T細胞)がうまくはたらかない子どもでは、カビ(真菌)からの感染に弱くなります。以下のものや場所はカビが多いとされますので、日常生活でなるべく接触しないようにしましょう。

カビ(真菌)が多いもの・場所

  • カビの生えた食品(チーズなどの発酵食品も含む)
  • 土を掘り返しているところ(工事現場、園芸など)
  • 敷きわら、枯れ葉、木片、稲、庭、納屋、洞窟や鍾乳洞など
  • 観葉植物や生け花
  • 加湿器  など

カビ(真菌)対策

  • キッチンや浴室、トイレなど湿気の溜まりやすいところは、換気設備を使ったり、窓を開けて換気をする
  • 畳・カーペット・寝具などの日干しをする
  • 洗濯物はなるべく室内ではなく外に干す
  • 床の素材にも注意する(フローリングのほうがじゅうたんや畳よりもカビがつきにくい)  など

ペットはできるだけ飼わない

ペットは必ずしも禁止ではありませんが、衛生面からなるべく飼わないほうがよいでしょう。子ガメはサルモネラ菌をもっている場合があります。

温泉・公共プールは注意

掛け流し温泉など常にお湯が流れているところは大丈夫ですが、お湯が循環していたり溜めているところでは注意が必要です。
公共のプールなどでもエンテロウイルスなどさまざまな病原体が水中に入っている場合があります。

感染症に気をつけましょう

免疫不全の赤ちゃんでは、かぜにかかると重症化することがあります

かぜの主な原因はウイルス感染によるもので、そのほか、細菌などにより引き起こされます。ウイルスではインフルエンザウイルスが有名ですが、乳幼児ではRSウイルスによる呼吸器感染症が多く、1歳までに半数以上、2歳までにほぼ全員がRSウイルスに感染します1、2)

とくに、免疫不全の赤ちゃんがRSウイルスにかかると、急激に重症化して、細気管支炎や肺炎などを引き起こすことがあります。重症化すると喘鳴(ぜんめい)(ゼイゼイ、ヒューヒューとした呼吸)が出たり、呼吸が速くなったりします。呼吸困難や無呼吸の状態がみられたり、入院による治療が必要な場合もあります。

現在、RSウイルス感染症に対する有効な治療薬はなく、かかってしまったら対症療法を行うことになります。そのため、しっかりとした予防を心がけ、感染の機会を減らすことが大切になります。

  • 1)

    Glezen WP, et al. Am J Dis Child. 1986; 140(6): 543-546.

  • 2)

    Hall CB. Contemp Pediatr. 1993; 10: 92-110.

かぜやウイルス性胃腸炎を予防するには?

免疫不全の子どもは感染症にかかりやすく、とくに冬は危険です。RSウイルスなどのかぜのウイルスは、咳、くしゃみ、鼻水、痰などから感染します。家族全員が協力して、できるだけウイルスと接触しないような環境をつくることが重要ですので、次のことを心がけましょう。

かぜをひいている人との
接触を避ける

かぜをひいている家族は、家庭でもマスクをする、部屋を分けるなど、赤ちゃんにうつさないようにしましょう。
大人にとっては軽いかぜでも、赤ちゃんにとっては重い症状を引き起こすことがあります。

身の回りのものの清潔を
心がける

赤ちゃんが触ったり、口に入れるものは、アルコールティッシュで消毒するなどして、常に清潔にしましょう。
また、オムツの処理をきっちりしましょう。

人ごみを避ける

病原体であるウイルスを寄せ付けないようにしましょう。

手洗い、うがいの励行

外出後は、家族を含め、手洗いうがいを励行し、からだを清潔に保つようにしましょう。

監修:長谷川 久弥 先生
東京女子医科大学附属足立医療センター 新生児科 教授